NSC Advanced Rescue 講習〈法面〉

小倉です。

昨日、山へ入り、NSC Advanced Rescue 講習を行ってきました。

稜線の太い樹木に支点を確保し、110m下方にいる金剛君(75kg)をストレッチャーに乗せ、NSCパワーアッセンダーを使用して稜線まで引き上げました。

システムの途中途中には、ディビエーション(ダブルプーリー使用)を行いロープを保護し、倒木を越える際も高取りのディビエーションを用いたので楽に引き上げる事ができました。

直角に近い場所もありましたが、NSCパワーアッセンダーには2kNも掛かりませんでしたので、現行のNSCパワーアッセンダーでも十分に引き上げる事が可能です。

ただ、現行機種はスピードが速いので、2019年秋発売予定の「 NSCパワーアッセンダー Rescue」の方が、スピードは遅いですが運用荷重が大きいので法面などには適していると思います。

メインとバックアップを合わせて、250mのロープを張り込み、ストレッチャーの前後に救助者を配置しました。

皆さん、とても上手に金剛君を引き上げてくれたので、さぞ金剛君も喜んでいると思います。

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講習中の動画は、近々YouTubeにアップしますので、乞うご期待!!

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

国家資格が取りやすくなりました!

小倉です。

最近、ロープ高所作業で行う外壁調査や外壁工事に、ロープ高所作業ができるという理由だけで職人ではない方々が流入してきました。

おかげで、工事の質も単価も下がり、ロープ業界全体が建設業界から嫌われ始めているという噂も聞きます。

嘘かほんとか、音響施工などと音だけを出して実際に工事を行っていない会社もあると聞きましたがほんとうでしょうか。

 

本題に戻しますが、昨年の秋に国土交通省がある決定を行いました。

内容は、施工管理技術検定試験の年2回化です。国土交通省の案内はこちら

 

おかげさまで、試験が受けやすく合格しやすくなり、建設業界全体の技術の向上が見込めます。

ありがたいことです。

職人さんは、是非この機会に資格を取得してください。

年2回化がいつまで続くのかわかりませんので、今がチャンスです!

資格を持つこと、それが、職人ではない方との差別化につながります。

腕があるのは当然です。あとは、それを裏付ける資格です。

皆さん、頑張りましょう!!

 

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

AEDとロープ高所作業

小倉です。

ひょんな事からAEDが手に入りました。

ロープ高所作業を行っていますので、AEDが欲しかったんです……

でも高価過ぎて今まで手がでませんでした。

といっても本音はフルAEDが欲しいですが、、、贅沢ですね。

 

ロープ高所作業時に病気や怪我で仲間の体調が悪くなった場合、オンロープ状態でAEDは使えません。

ですから、迅速に仲間を安全なAEDの使える場所まで上げる若しくは下ろす必要があります。

この、上げる若しくは下ろす作業が最も大切で大変なのですが、弊社にはNSCパワーアッセンダーがあります。

おかげで、世界で最も迅速に要救助者を安全な場所まで上げたり下ろしたりすることができます。

もちろん、日常からセルフレスキュー訓練を行っているからなんですが。

 

AEDのバッテリーは、リチウム二酸化マンガン電池を使用しており非常に高価です。

バッテリーやパッドには寿命があり、バッテリーは3.6万円前後、パッドは1.2万円前後します。

都市部での作業時は、最寄りのAEDがある場所をロープ高所作業計画書内に記載してあり場所を把握していますので問題はありません。

しかし、山では、道路へ下りるだけで2時間、更に病院まで1時間かかる現場もあります。

今回、AEDが手に入った事で山へ行く際の安心材料が、一つ増えました。

ほんとうに良かったです!!

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

支点(アンカー)について(15kN)

小倉です。

支点に関して、いつもロープ高所作業特別教育やNSC講習で伝えていることを、ブログを読んで頂いている方にお伝えしようと思います。

まず、機材から!

機材は基本的にPPE(個人保護用具)でなければなりません。

PPEである以上、全ての機材は規格があり、使用する荷重が決まっています。

(ただし、弊社でも開発し販売している《パワーアッセンダー》というカテゴリーは、現在のところ世界的にPPEの規格がありません。そこで、JIS(日本工業規格)に働きかけパワーアッセンダー用の規格を世界で初めて制定しようと頑張ってみましたが、省庁間の問題で断念しました。)

しかし、最も大切な『支点』(アンカー)に関する規格は、世界中のどこを見ても、どんな文献を探しても、これを支点にしなさいとは記載してはありません。

ですから、支点は自分自身で決めるしかありません。

では、どうやって支点を決めればいいのか。

丸環がついているから丸環を使う、太い樹木があるからその樹木を使う、丈夫そうな設備機器(キュービクルや室外機)があるから設備機器を使う、梯子があるから梯子を使う、単管があるから単管を使う、車があるから車を使う、建物にウェビングやロープが掛かる場所があるから、そこを使う、あと施工アンカーが打ち込んであるからそのアンカーを使う…切りがないですが、その支点は万が一の衝撃荷重に耐えられますか?

支点を作成すると言うことは、支点の強度を知らなければなりません。

では、どうするか。

方法は二つあります。

自分が支点にするものの耐荷重を実際にテストする、若しくは支点にするものの勉強をする、かです。

例えば、丸環を例にあげれば、水平方向の引張荷重や上向きの引張荷重を実際にテストすることはできますが、15kN以上を掛けたテストに使ったその丸環は今後使用できなくなります。

それは、現実的ではありませんね。

話しは変わりますが、動荷重試験は、思い切り、丸環を壊すつもりで行って頂いて構いません。

どんなに思い切り蹴飛ばしても1.7kNしか掛かりませんから。

もし、それで丸環が壊れたらラッキーです。

オーナーに、「動荷重試験を行ったら丸環が壊れました。もし、この丸環にぶら下がっていたら私は死亡していました。試験で壊れてラッキーでした。」と報告して下さい。

話しを戻します。

残された方法は… 支点の勉強をすることです。

丸環を使うなら(できる限り丸環は使わないで下さい。)丸環の勉強、樹木を使うなら樹木の勉強、構造物を使うなら構造物の勉強をする。

それが自分や仲間の命を守ります。

キュービクルってわかりますでしょうか?

箱形で屋根にアイボルトが4つ付いています。

あのアイボルト、キュービクルを吊るための物ではありません。

キュービクルの中には、受電するための設備が納められていて、トランス1台だけで300~400kgあります。

それが、何台も入っているのに、アイボルト4本だけで吊ることができるはずがありません。

あのアイボルトは、受電設備を入れ替えるとき、キュービクルの蓋を外すために設けられています。

当然、耐荷重は数十キロです。

よく、キュービクルのアイボルトを支点にすると耳にしますが、絶対にやめて下さい。

(キュービクル自体が錆で腐食していなければ、養生をして、スリングやウェビングでキュービクルを囲ってしまえば問題ありません。)

エアコンの室外機にしても同様です。

室外機に圧縮機(鉄の塊)が入っていれば重量がありますので支点に利用できる場合もあります。

しかし、室内圧縮機と言って室外機に圧縮機の入っていない軽い物があり、支点として利用できない室外機があります。

樹木も同じように支点として使用できない物があります。

昆虫や鳥などに穴を開けられている樹木、成長する過程で大きな衝撃荷重を受けている樹木、ツルやツタが巻き付いて死んでいる若しくは死にかけている樹木、キノコが生えている樹木、など見た目は太くても支点として使用できない樹木が多々あります。

(反対に、直径10cmしかない樹木でも引っこ抜くのに、ユンボが必要な事も事実です。)

車も同じです。

通常、ホイールをハブに留めているボルトはM12以上あります。

M12以上あれば、1本当たり剪断の許容応力度が7kN以上、引っ張りで6kN以上あります。

しかし、それはちゃんと整備されていた場合の数値です。

私は10代の頃、ガソリンスタンドでバイトをしていましたが、エア式のインパクトレンチを使い、同僚がハブから出ているボルトをねじ切るのを何度も見ました。

もちろん、その車は整備工場へ運ばれ修理をしてましたけど…

梯子も同じです。

僕らも梯子を使用して室外機の搬入出を行います。

その時は、ステップを専用の金具で養生してからウェビングを掛け、ステップの一ヶ所に荷重が掛からないようにします。

(専用の金具が販売されています。)

もし、ステップを養生せずに100kgの室外機の搬入出を行ったらどうなるか…

ステップのセンター2cm幅に倍の2.0kN弱の荷重が掛かりますので、ステップは真ん中を軸にして折れ曲がる方向へ変形します。

すると、両端のステップのカシメがサイドバーから抜けてきて、最終的にステップがサイドバーから外れます。

すると、ウェビングに掛かった荷重は荷重を増しながら次のステップに掛かり、荷重が小さくなるまで次々にステップを破壊していきます。

建物も同じで、木造、軽量鉄骨、RC造、SRC造、S造など基本的な構造が違います。

支点にできるのは基本的に梁や柱であり、開口部であっても、柱の入っていない開口部もあります。

もう一度言います。

支点は自分で決めるしかありません。

使用する支点の勉強をする事、できるだけ重量物を選定する事、大きな「物」としてとらえる事、15kN以上に耐えられると確信のもてるものを選定する事!

自分の命は自分で守るしかありません。

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

NSCパワーアッセンダーと階段レスキュー Stairs Rescue

小倉です。

先日、ビル内にある内階段を利用して、引き上げ訓練を行ってきました。

システムは簡単で、ビルの最上階にフレームを組み、NSCパワーアッセンダーを取り付け、階段と階段の隙間にメインロープとバックアップロープを垂らしました。

 

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ビル1階から8階まで、ストレッチャーに乗せた金剛君(体重75kg、3才)を引き上げました。

今回のビルは、階段と階段の隙間が狭く、隙間に手すりの支持金具がありロープが当たるため、ロープの介助に1名が必要で2名体制となりました。

しかし、隙間がもう少し広く、支持金具にロープが当たらなければ、ストレッチャーに乗せた75kgのものを、補助員1名で簡単に短時間で最上階まで上げる事ができます。

NSCPAやシステム自体には、1名の重量+引き込み分の荷重しか掛かりませんので問題はありません。

災害時にビルのEVが停止した際、屋上のヘリポートまで要救助者を引き上げるのには有効だと思います。

デベロッパーの方々へ提案なのですが、災害時のEVバックアップとして、ビル内階段の最上階にパワーアッセンダーを取り付ける支点を付けて頂けないでしょうかね~。

そうすれば、50階でも80階でも簡単に要救助者を引き上げる事ができるんですが。

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

胴ベルト型安全帯の使用期限に関して(一本吊り)追記

小倉です。

前回、墜落制止用器具に関して、旧規格の一本吊り胴ベルト型(経過措置により墜落制止用器具と見なされる)は、規格も高さ制限も関係なく使用できると記載しましたが、いつまで使用できるのか期日を記載していませんでしたので追記します。

2022年1月1日までは、旧規格の一本吊り胴ベルト型であれば6.75mを超えての使用も可能です。

2022年1月2日以降は、全ての旧規格の墜落制止用器具は、一本吊り胴ベルト型もフルハーネス型(ランヤード含む)も使用できなくなります。

ちなみに、新規格の墜落制止用器具は2019年2月1日から高さ制限が適用されていますので、一本吊り胴ベルト型は6.75mを超えて使用できません。

旧規格の一本吊り胴ベルト型は2022年1月1日まで、6.75mを超えて使用できるが、新規格の一本吊り胴ベルト型は、2019年2月1日より6.75mを超えて使用できないということです。

新規格のフルハーネス型であればどこでも使用できますので、上記のような問題を気にする必要はありません。

ただ、フルハーネスを着用したからと言って安全ではありません。

何でもそうですが、使い方を誤れば重大事故や死亡事故につながります。

着用方法やセルフレスキューの方法を学んで、安全にお使い下さい。

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

胴ベルト型安全帯の使用期限に関して(一本吊り)

小倉です。

表は、協会がフルハーネス特別教育の際に使用しているもので、ヨーロッパと日本の考え方の違いについて書かれています。

 

協会宛てによくくる質問なんですが、「一本吊り胴ベルト型の安全帯(墜落制止用器具)は、2019年2月1日を超えてもロープ高所作業に使用して良いのか」と。

以下、「厚生労働省の墜落制止用器具に係る質疑応答集」です。

法的には、経過措置により2022年1月1日まで、旧型の墜落制止用器具(1本吊り胴ベルト型)は使用可能です。

更に、新規格であれば、2022年1月2日を超えて使用する事も可能です。

しかし、法律にも記載がありますように、高所作業時に身につけるものは「原則フルハーネス」です。

言い換えれば、本来はフルハーネスを着用すべきだが、フルハーネスを購入するお金のない方へ、今ある身体保持器具と一本吊り胴ベルト型を使用しても良いと言っています。

フルハーネスと胴ベルト型のどちらが安全か、言うまでもありません。

フルハーネスを使用していない従業員の方へ「あなたの命の値段はフルハーネス1着分より安いのですか」

フルハーネスを使用させていない経営者の方へ「あなたの会社を支えてくれている従業員の命の値段は、フルハーネス1着分より安いのですか」と問いたいです。

 

僕が従業員なら、会社にフルハーネスの購入をせまり、レスキュー講習を受けさせてもらいます。

僕が経営者なら、従業員にフルハーネスを与え若しくは購入する資金を援助し、レスキュー講習を行う若しくは受けさせます。

自分の命そして仲間の命を守れるのは自分と仲間達です。

人間は、心臓が止まれば(心室細動の状態)、3分以内に心臓へ酸素を送らなければ心臓は二度と動きだしません。

仮に心臓が動いていたとしても、フルハーネスに吊られた状態で意識を失えば、15分から30分で死亡します。

セルフレスキューの話しはまた今度にしますが、ロープ高所作業に限らず、全ての高所作業時にフルハーネスが着用され、ヨーロッパのようにセルフレスキュー講習が特別教育に組み込まれるように願ってやみません。

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

NSCパワーアッセンダーの開発

ケンテックシステムズとロープ高所作業協会代表の小倉健二です。

これから、ロープに関する様々なことを記載していきたいと思います。

ロープ高所作業やNSCパワーアッセンダー(以下、ファルコン)に興味のある方は、是非、ご覧ください。

 

今回は、ファルコンに関してです。

やっと、納得のいくファルコンstandard版が完成しました。

長かったー

給与もしばらく貰っていませんし自宅も担保に入れ、もうどこからもお金を借りられません…

先日、全自動衣類折りたたみ機を開発した会社が倒産しましたが、物を開発するという事はとても大変なことなので気持ちはわかります。

 

現在、ファルコンの販売価格は定価で70万円です。

しかし、製作コストは、1台あたり195万円です。

更に、莫大な特許費用も掛かっています。

(特許の話しは、また別の時にしますが、米国とEUの特許が取得できました!!)

それでも開発を続けているのは、やっぱりケンテックとしての夢だからです。

ファルコンが世界中に広まれば、ロープ高所作業が楽になり、レスキュー現場では助かる命が増えます。

それを想像することはとても楽しい事で、その為に頑張っています。

 

本年度は、ファルコンstandard版とは別に、登高スピードを落とし運用荷重を上げたレスキュー用のprofessional版を開発する予定です。

ファルコンの性能は、充電ドライバーの性能に左右されます。

standard版の本来の性能は、最大運用荷重2kN(約200kgf)、登高スピード35m/分です。

でも、充電ドライバーの最大回転数の問題で、最大運用荷重2kN(約200kgf)、登高スピードは15m/分となっています。

本年度開発する、レスキュー用professional版の本来の性能は、計算上ですが、最大運用荷重3kN(約300kgf)、登高スピード25m/分です。

しかし、充電ドライバーの最大回転数の問題で、計算上、最大運用荷重3kN(約300kgf)、登高スピードは12m/分となります。

今後、充電ドライバーやバッテリーの性能が上がって行けば、ファルコンの性能も勝手に上がっていきます。

(日本の充電ドライバーメーカー様のおかげで、ファルコンが動きます。ありがとうございます。)

それでは、本日はこの辺で、皆様、ご安全に!!