小倉です。
今日は、水俣条約に関するお話です。
2017年/8/16発行、水銀および水銀を使用した製品の製造と輸出入を規制する国際条約「水俣条約」。
この条約を受け、日本では一定含有量以上の水銀を含む一般照明用蛍光ランプ及び一般照明用高圧水銀ランプについて、2020年12月31日以降、製造及び輸出入を原則禁止することが決まりました。
※ただし、条約では、水銀灯の使用禁止を求めているわけではありませんので、ランプの買い置きがあれば在庫のあるかぎりは使用はできます。
影響が比較的大きな話題ですので、体育館や工場、ビル外壁のライトアップに水銀ランプを使用している施設の管理者は、ぜひご覧下さい。
水俣条約の内容
まずは、水俣条約の内容から。
今後、禁止されるランプの種類
(1)30W以下の一般照明用コンパクト蛍光ランプ(CFL)
水銀封入量が5mgを超えるもの。
コンパクト蛍光ランプには電球形蛍光ランプも含まれます。
(2)一般照明用直管蛍光ランプ(LFL)
① 60W未満の3波長蛍光体を使用したもの〈 水銀封入量が5mgを超えるもの 〉
② 40W以下のカルシウムハロ蛍光体を使用したもの〈 水銀封入量が10mgを超えるもの 〉
(3)一般照明用の高圧水銀ランプ(HPMV)
〈 水銀含有量に関係なく全て 〉※メタルハライドランプや高圧ナトリウムランプなどは含みません。
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電子ディスプレイ用冷陰極蛍光ランプ(CCFL及びEEFL)
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長さが500mm以下の小サイズのもの
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〈 水銀封入量が3.5mgを超えるもの 〉
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長さが500mmを超え1,500mm以下の中サイズのもの
〈 水銀封入量が5mgを超えるもの 〉
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長さが1,500mmを超える大サイズのもの
〈 水銀封入量が13mgを超えるもの 〉
国内で条約の対象となる水銀ランプ
上記「水俣条約の内容」に記載した全ての水銀ランプが、現在日本国内で使われているわけではなく、日本国内では主として一般照明用の高圧水銀ランプが条約の対象となります。
一般照明用高圧水銀ランプ
条約の対象となる一般照明用の高圧水銀ランプは、主として国内では高天井用照明として、工場や体育館などに使用されています。
一般照明用高圧水銀ランプの代替ランプ
今後は、ランプが手に入らなくなる前に、LEDまたはセラミックメタルハライドランプなどの高効率光源への切り替えが必要となります。
ランプを交換するメリット
代替のLEDランプは水銀ランプに比べて電気料金が1/4、セラミックメタルハライドランプは水銀ランプに比べて1/2と言われています。
更に、ランプの寿命も長いことからランニングコストも抑えることができます。
(寿命に関しましては、メーカーカタログ値のランプ交換時間を参照しています。)
更に、今後は製品等の廃棄処分の問題(水銀製品産業廃棄物)や、ランプが割れた場合の水銀処理の問題なども出てくると思われますので、早めに水銀を含まないランプに交換されることをお勧めします。
水銀灯の交換を希望されるお客様は、是非、ケンテックシステムズへご相談下さい。
一般照明用高圧水銀ランプの設置場所
一般照明用高圧水銀ランプ(以下、水銀灯)と一口に言っても様々なタイプ、取付方法、設置場所があります。水銀灯の設置場所として最も多い場所が、体育館や工場などの天井付近です。
水銀灯の交換方法
水銀灯の交換工法として考えられるものは、3つあります。
1.足場、2.高所作業車、3.ロープ高所作業(ロープアクセス、無足場工法、ノン・スキャフォールディング工法)です。
1.足場
最もポピュラーな高所での作業方法であり、足場が組めるのでしたら足場が最も良い方法です。
ただし、デメリットとして床面の養生が必要、工事期間が長くなる、足場費用が掛かる、足場が組めない場所があるなどです。
2.高所作業車
足場の次にポピュラーな方法です。
デメリットは、床面の養生が必要、高所作業車自体の大きさや重量の関係から入れない場所がある、高所作業車のレンタル費用が掛かる、作業人数分の高所作業車が必要、そもそも高所作業車が届かないなどです。
メリットは、工事期間の短縮、足場が組めない場所でも作業が可能などです。
3.ロープ高所作業(ロープアクセス)
最近普及し始めた足場や高所作業車の代わりにロープを使う特殊な工法です。
デメリットは、足場や高所作業車に比べて、ランプに取り付くまでに時間が掛かる(足場や高所作業車の設置時間を除く)、電気工事士の資格を持ったロープ高所作業(ロープアクセス)従事者が少ない、工場などで梁の上に積もった埃が落下する(横移動時のワイヤースリングにより)などです。
メリットは、床面の大掛かりな養生が必要ない、足場が組めない場所や高所作業車が届かない場所でも工事ができる、足場に比べれば費用が安い、足場に比べれば工事期間が短いなどです。
どれも一長一短があります
どの工法がベストとは一概には言えません。
リスクアセスメントを行い、現場に合った工法を取り入れる事が重要です。
弊社では、3つの工法を組み合わせ、それぞれの資格を持った作業員が工事を行っています。