NSCパワーアッセンダー

ロープとフレームの角度に関して(75度、NSCPA使用、建築用)

小倉です。

今回は、屋上などへの資材引き上げ時に使用する、単管で作成するAフレームやジンポール(以下、フレーム)の角度と荷重に関して書いてみます。

 

考え方の前提として、フレームの先端からアンカーへロープを張り込み、フレームの先端にNSCパワーアッセンダーを取り付け、資材を引き上げるという設定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もし、NSCパワーアッセンダーの代わりにプーリーを取り付け、つるべで資材を引き上げれば、全ての荷重は2倍以上になります。

 

まず、地面に対するフレームの角度から。

私達、建築関係の人間は、防水膜の大切さをよく知っています。

万が一、防水膜を傷つけたなら、傷つけた防水膜の補修を行うことができる専門の防水屋さんを呼んで補修を行わなくてはなりません。

お金も掛かりますし、お客様には怒られますし、とても面倒です。

その為、フレームを使う際に、防水膜を傷つけないことが前提となります。

そうなると、フレームの角度は、地面に対して立っていれば立っている(90度)ほど良いと言うことになります。

ただ、地盤面に対してフレームの角度が90度ではフレームが倒れますし、使いにくいのである程度の角度が必要となります。

私達は梯子を使いますが、梯子の角度は75度と決められています。

この角度が、長年の経験による安全とコストを考えた最も最適な角度だと認識しています。

(梯子の足が滑りにくい、梯子が軽く作れる、梯子が人の荷重に耐えられる、梯子が登りやすい、梯子が安く製作できるなど。)

更に、フロントタイが取れる現場なら、当然フロントタイを取ればフレームは安定します。

フレームを組む際も、防水膜を傷つけないために、この角度を参考にします。

建物の屋上では、アンカーは決まっており、どこからでもアンカーを取れるわけではありませんので、アンカー側が破断しないように、フレームとアンカーの角度には細心の注意が必要です。

 

わかりやすいようにフレームの角度からアンカー角度(位置)を計算してみます。

まず、フレームを地面に対して75度で組むとします。

次に、フレームを保持するアンカーとフレームの角度です。

フレームを75度で立てるなら、90-75=15で、資材引き上げロープ(ロープA)とフレームの角度は15度となります。

基本的に、吊り荷の荷重よりアンカーに掛かる荷重を増やしたくありませんので、フレームと引き上げロープ(ロープB)の角度は、ロープAとフレームの角度15度以上となります。

上記の角度は、ロープAに対して30度の開き、地盤面に対して60度の角度となります。

その角度から外側にアンカーがあれば、問題ありません。

吊り荷の荷重が100%として、上記15度でアンカーには100%が掛かり、フレームには約193%が掛かります。

 

次に、フレームと地面の角度を45度としてみましょう。

90-45=45 フレームとロープBの角度は45度、すなわち、フレームトップから、真横にロープBを引っ張れば、ロープBとアンカーに100%となります。

この場合、地盤面に対して水平にアンカーを構築しなければならないため、地盤面にあるアンカーは使用できません。

そして、フレームの転倒や防水膜の損傷が問題となります。

 

 

この場合、フレームBを増やす事により、アンカーを地面から取りフレームAの転倒を防ぐことができるようになります。

ただし、フレームBとロープCとアンカーに掛かる荷重が約3.8倍になりますので、この角度では実用的ではありません。更に真上に荷重をかけられるアンカーも多くはありません。(ただし、フレームの角度を変えることにより、アンカーとフレームに掛かる荷重を減らすことはできます。)

 

次にフレームと地面の角度を30度としてみましょう、

90-30=60 フレームとロープBの角度は60度、フレームは元々30度で立っていますので、垂線に対して120度以上でアンカーを構築しなければなりません。

もし、フレームとアンカーの角度を狭めればどうなるか。

フレームとアンカーには莫大な荷重が掛かります。

 

例として、75度でフレームを立て、フレームとアンカーの角度を15度から10度に狭めた場合。

フレームには243%、アンカーには149%の荷重が掛かります。

たった5度の違いで、50%増しの荷重が掛かります。

 

次の例として、フレームを45度で立て、アンカーを地盤面から取ろうとして、フレームとアンカーの角度を15度とした場合。

フレームには334%、アンカーには273%の荷重が掛かります。

 

更に、地面に対してフレームを10度、フレームとロープBを10度(ロープAに対して90度)で設定すれば、フレームに587%、ロープBとアンカーに579%が掛かります。

引き上げる物が100kgであれば、ロープBとフレームに約5.8kN(580kgf)、更にパワーアッセンダーの代わりにプーリーを取り付けてつるべで引き上げれば、ロープBとアンカーに約12kN「1.2tf)の荷重が掛かる計算になります。

私達、設備屋は、エアコンの室外機(最大200kgくらい)を吊り上げます。

くれぐれも、システムが破断しないように、フレームとアンカーの角度にはお気を付け下さい。

 

それでは、本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

NSCPAの規格と法律に関して(労働安全衛生法は約49年前に制定)

小倉です。

最近、NSCPAの規格に関して質問される機会が増えましたので、私の考える「規格」と「法律」に関して書いてみたいと思います。

まず、規格とは。
日本にはJISがあり、アメリカはUL、カナダはCSA、その他CE認証にEN規格、ISO、ANSIやNFPAなど様々な規格があり、法律は国毎に違います。

基本的に、日本で使うロープ機材は、日本の法律とJIS規格をクリアしていなければなりません。
(EU諸国で使用する場合には、EUの法律に適合しCE認証を取得していなければなりません。)

これは私の経験から導き出された考えですが、特許にしても認証や規格に関しても、初めはどうであれ、現在では全ての特許や規格は各団体のお金儲けの手段だと思っています。

実際に、各規格を取得するためには、莫大な費用が掛かります。
規格を発行している団体と書類を作成するコンサル会社への支払いで、CE認証EN規格なら200万円を超えます。
特許に関しても、海外一ヶ国あたり、200万円前後です。

そのお金がどこに使われているのか。。。
不思議ですよね~。

各団体には各団体の都合があります。

フルハーネスを例にします。
フルハーネス特別教育が始まる前までは、厳密に言えば、CE認証を取得していても、JIS規格をクリアしていない(トルソー落下時の僅かな角度の違いによって)海外のフルハーネスは、日本での使用はNGでした。
しかし、現在では、2019年2月1日から適用された政令(墜落制止用器具の規格 第十条)により、労働基準局長が認めたものは使用可となっております。
要は、日本のフルハーネスメーカーと海外のフルハーネスメーカーとのせめぎ合いです。

ロープ高所作業に関しても、ロープ高所作業特別教育が始まる前までは、厳密に言えば日本で建設(建築)工事に対してロープ高所作業を行う事はNGでした。
しかし、二つの協会さんが政治家を動かし厚生労働省に働きかけ、ロープ高所作業が公に認められることとなりました。

これはこれでありがたい事です。
(ケンテックシステムズがNETISを取得する際に、当初、国土交通省はロープで工事を行うことに対して難色を示していました。しかし、協議の途中から国交省の態度が軟化しました。原因は、厚生労働省が、ロープ高所作業特別教育の法律を策定していることを国交省側が知ったためです。)

ただ、特別教育の内容に、ロープを使った工事、特殊伐採、消防が行うレスキュー、舞台設営など2つの協会さん以外の業務が含まれていません。
そして、ロープの教育を一日(7時間)で行う事自体に無理がありますので、今後の法律の改定が待たれるところでもあります。

では、法律や規格はどのようにして作られるか

私は、法律や資格は、「任意の団体により、任意の団体の都合の良いように作られる」ものだと思っています。

自動車レースF1でのホンダエンジン、スキージャンプの板、米国マスキー法のホンダや東洋工業(現マツダ)、数々の医療事故に関する規制、ワクチンの承認などをみれば明らかで、法律や規格を制定する団体の都合が悪ければ、「自分達の都合の良いように勝手に規格や規制を変更する。」ことが普通に行われています。

JISやCE認証やNFPAに関しても同様です。

ロープを例に取ります。

CE認証でロープの規格が作られた時代は、その時代のロープメーカーの技術で大量生産可能なロープの強度が22kNでした。

現在では、ロープメーカーの技術があがり、11.0mmでも破断強度が40kNのロープがあります。

人の手で編めば、更に破断強度の高いロープが作れます。(NHKで放映していました。)
ただし、かなりの高額になりますが。

後は、お金と安全とどちらを取るか、費用対効果です。

この世には、「超実定法的措置」及び「超法規的措置」なんて便利な言葉も存在します。

戦場で人が人を殺めることも「超実定法的措置」及び「超法規的措置」です。
成田空港で、日本国のビザを持たないのない海外の要人が逮捕されることなく、そのまま自国に帰れることも「超実定法的措置」及び「超法規的措置」です。
子供達に聞かれたときに、なんと説明(言い訳)すれば良いのか困ります。

そして、この世には、規格自体が存在しないものもあります。
パワーアッセンダーが良い例です。

世界的にみて、パワーアッセンダー自体の規格は存在しません。
海外製のパワーアッセンダーがCE認証を取得しているといっても、人を上げるためのモーターの規格です。

ケンテックシステムズでも、JISを策定している団体と交渉を行ったことがあります。
その際、JISを策定している団体(経済産業省関連の団体)の方は、当初、世界で初めてパワーアッセンダーの規格を制定することに賛成の意向を示していました。

しかし、途中で断念しました。
理由は、パワーアッセンダーの規格を制定するには、他の団体(総務省、国土交通省、厚生労働省)の意向が絡んでくるからです。

現在、5社に掛け合い、CE認証取得にも動いていますが、一切の返答がありません。

法律や規格などその程度のことです。

消防がヘリコプターとホイストで行う救助に関しても、日本の法律やJISに決まりはないと記憶しています。
規格にないものを使用しているわけですから、法律や規格は関係ありません。
あとは自分達で決めれば良いだけです。

そもそも論ですが、ロープ高所作業に使われる昇降器具の定義とは、「労働者自らの操作により上昇し、又は下降するための器具」と決められております。
よって、他人が操作する昇降器具に対して、ロープ高所作業特別教育の内容を当てはめること自体がナンセンスです。

限界を超える山岳レスキューも同様です。
私が、11mmを200m背負って3000m級の山に登るなど、それだけで自殺行為です。
よって、もし行けと言われたら、山用のシットハーネスを装着し、できるだけ細いロープと簡単な資機材のみを持って行きます。
当然、ライフラインやバックアップなどは持って行きません。

亡くなった方をロープを使って落とすこと(ある意味、死体損傷)も山岳レスキューでは普通のことだと伺っています。

バックアップデバイスも良い例です。
バックアップデバイスが100%安全かと言われると、とても安全とは言えません。

バックアップデバイス自体が自重で落ちますし、風でライフラインが弛みますし、登高時は自分の手でライフラインを張り込まなければ行けませんし。

とても、初心者向きではありません。

まだ、リトラクタ式の方が安全だと思います。
(ただし、万が一リトラクタ式が効いた際は、落下の衝撃により凄い痛みを伴いますが。。。)

 

私達が使用するロープ機材は、全て工業製品です。
工業製品である以上、大量生産されておりますので、100%安全な製品は作れません。
よって、資機材を購入した際は、使用前点検が重要になります。
特にロープの使用前点検は大切です。

私は、法律や規格をないがしろにしている分けではありません。

例えば、49年前にできた「労働安全衛生法」
日本にはこのような素晴らしい法律が多々あります。
この法律のお陰で、日本で働く方々は守られています。
私達事業者側からすればとても厳しい法律ですが、私は第三条の第1項が大好きです。

安全は自分自身で考え、自分の安全は自分で守る。

皆様、くれぐれもご安全に

それでは本日はこの辺で。

2021年 ロープ高所作業協会のプロジェクト 1

今回は、水俣条約に関して第三弾となりますが、これから協会として行っていくプロジェクトに関して書かせて頂きます。

水銀灯からLEDへの更新工事が本格化してきました。

2020年8月、協会の理事であるケンテックシステムズは、大手電気設備工事会社様の元で自動車メーカーの工場内にある水銀灯をLEDへ交換しました。

工場内には、億単位の工作ロボットが並んでいるためビス1本の落下も許されず、その頭上で作業を行わなくてはならなかった為、非常に神経を使いました。

お陰で、普通の体育館や倉庫とは違った、とても多くのノウハウを得ることができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、大手LEDメーカー様から、日本中の体育館に設置してある水銀灯の交換工事を依頼されております。

当然、現在の協会の規模では工事を請け負うことも、ロープが使える電気工事士の方を紹介する事もできません。

そこで、来年2021年初頭から、協会の理事や会員を募集し、新たな資格(例として「NSC 電気工事士」)を創設し、協会員の方に対しては、ロープと電気工事の講習を行い、LED更新工事の安全性を担保していこうと考えております。

そして、理事や協会員である、メーカー様や元請工事業者様に対しては、弊会で講習を受けた資格保持者の方を紹介していくようなシステムを構築するつもりでおります。

ロープの講習に関しまして、元々弊会では NSC講習を行っていますので、NSC講習を元に、体育館や工場、倉庫用に特化したロープ技術(今まで培ったノウハウ)を伝え、電気工事に関しては、実際の倉庫でロープにぶら下がり、水源灯からLEDへの交換工事を行って頂く、LED更新工事に特化した内容にするつもりでおります。

更に、今までのノウハウである落下させない機材の使用方法や、PCB廃棄物の保管廃棄方法、ケンテックシステムズが保有する、LED更新工事を楽に行うことができる機材、「NSCパワーアッセンダー」「NSCロープフッキングデバイス」「NSCワイヤーフリクションセーバー」「NSCドローンウエイト」など数々の特許技術を会員の皆様限定で提供いたします。

これから、弊会の会員になられます電気工事士の方へ、LED更新工事に必要な電気工事士の資格についてお知らせいたします。。

前回のブログで、LED更新工事に必要な資格は、第二種電気工事士で良いと記載しましたが間違っておりました。

誠に申し訳ございません。

倉庫や体育館、工場などの自家用電気工作物の工事(LED更新工事含む)を行う為には、第一種電気工事士若しくは、認定電気工事従事者の資格が必須となります。

よって、第二種電気工事士を保有している方は、第一種電気工事士若しくは、認定電気工事従事者の資格を取得して下さい。これは必須条件となります。、

 

その他、協会の事業として、今後は消防士の方には無償で会員になって頂き、全国の高名な消防士の方を講師に招き、レスキュー講習や訓練を行っていこうと考えております。

以上、協会のプロジェクトに関してご興味のある方は、協会のお問い合わせ欄からご連絡のほど、よろしくお願い申し上げます。

(一社)ロープ高所作業協会
代表理事 小倉健二

ドローンレスキューⓇの危険性!

最近、ドローンレスキューⓇの依頼が多々あります。

多くの依頼は、ドローンを紛失したという依頼です。

ドローンは一瞬の不注意で落下します。

ですから、本来は、ドローンが落ちても問題のないところで飛ばすのが筋です。

そもそも、国内で自由にドローンを飛ばせる場所などあるはずもなく、許可なく飛ばせるのは、自分自信で保有している、他の方などが一切映り込まない広大な敷地内だけです。

自分の土地でなければ、必ず所有者がおりますし、自分の土地が狭ければ他の方などが映り込みます。

基本的に、自分の土地以外を飛行させる場合は許可が必要ですし、他の方などが映り込む場合も許可が必要です。

国定公園などは、土地の所有者が何人もいらっしゃる場合があり、それら全ての土地の所有者の方に許可を得るなど、不可能に近いです。

よって、ドローンを飛ばすことができるのは、許可を得た体育館やドローン専用の屋内飛行場、そしてドローンを公認しているスキー場などの施設だけとなります。

万が一、他人の土地や、国立公園内などに墜落させ、機体を放置すれば産業廃棄物の不法投棄となり罰せられます。

ドローンには、個別の番号があり国交省に登録していますので、所有者は直ぐに分かります。

更に、ドローンにはバッテリーが積んでありますので、ドローンを水源に落とせば水源が汚染され、水源でなくとも土を汚染します。

上記から、法律を100%守ろうと思えば、許可を得た施設以外でドローンを飛ばすことは不可能に近いです。

話しがずれたので戻ります。

まず、ドローンレスキューはとても危険な仕事だということを理解して頂きたいと思います。

空を飛んでいたものが落ちて、落ちた場所が分からず、それを確保しに行くわけですから。。。。

ドローンの確保を他人に頼むということは、自分では確保に行けない場所であるわけで、危険を伴う場所であることは明白です。

他人の土地であれば、そこへ入るのに許可も必要ですし、最近は熊も多いですし、毒虫も沢山います。

時期にもよりますが、今時分であれば、猟師さん達が鉄砲で猟をしていますし、罠も仕掛けてあります。

更に、墜落地点がGPSで特定できていれば、まだ探しようもありますが、墜落場所を特定できていなければ(GPS情報が残っていなければ)人海戦術で探すほかはありません。

例え、GPSで落下地点が特定できたとしても、そこへ行く道などがあるはずもなく、グズグズの山の中を、ヤマビルに吸い付かれながら、藪漕ぎをしたり、木の根に捕まって這って進んで行くわけです。

そして、樹上にあれば、樹木にスローラインを掛け、ロープに切り替え、ロープを登り、届かなければ木を揺らし、ドローンを回収します。

人員も、万が一のセルフレスキューを考え、最低2名以上で行動します。

もし、これをお読みの方が、ドローンレスキューを依頼されたら、いくら位で請け負うか、考えてみて下さい。

会社から500㎞以上離れた地域で、緯度も経度もわからず、地図を見せられ、山の中のあそこらへんに落ちていると思う、との依頼があった場合、どのくらいの費用で回収を請け負いますか?

ドローンを飛ばしている皆様、ドローンの回収にはかなりの費用が掛かります。

高額な保険に入っていなければ、ドローンの回収費用全てを賄うことはできません。

くれぐれもドローンを落とさないように最新の注意を払って下さい。

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

熱中症と空調服の危険性!

ダブルチェストアッセンダー

みなさま、ご無沙汰しております。

今回は、熱中症と空調服に関して、今更ですが私の経験をお伝えしたいと思います。

現場は真夏の自動車工場内、作業内容は 水俣条約による「水銀灯からLEDへの交換工事」です。

今回、生まれて初めて熱中症対策である空調服なるものを買ってみました!

M社の2万円以上するタイプです。

購入した空調服は、フルハーネス用で半袖タイプ、空調服の背中側からモバイルフォールアレスターを取り出すことができるタイプです。

問題はフロント側のチェストアッセンダーですが、最終的なリスクを考えた際、熱中症の方が危険だと判断し、ペツル社のトルスを使用し、ダブルチェストアッセンダーで運用しました。

トルスは元々シットハーネスにチェストアッセンダーを取り付ける機材なので、登高もトラバース(水平エイドクライミング)も問題はありません。

いざ、作業開始!

ロープフッキングデバイス(特許取得中)を使い鉄骨の梁にロープを掛け、NSCPAで登高し、空調服のスイッチをON!
これで、快適な職場環境の実現ができるはずでしたが。。。。。

結果は、作業中に熱中症になりかけてしまいました。(おかしいと感じた時点で直ぐに下降しましたので、問題はありませんでしたけどね。)

熱中症になりかけた理由は、空調服の利点である、汗を乾かしてしまう機能です。
空調服を着用中、常に汗をかいていれば、気化熱の影響で体温を下げてくれます。

しかし、汗が乾いてしまえば、空調服の中へ送られてくる風の温度は、30℃以上になり、私達はフルハーネスを着用していますので、身体の場所によっては、風も送られず体温が上がって行くだけとなります。

実際に体調が悪くなったとき、空調服の中に着ていたTシャツは、完全に乾いていました。

気化熱を利用する冷却方法ですので、Tシャツが乾いていれば、その機能を発揮できません。

お陰で現場が進まず、どうすれば、私の身体に合った熱中症対策があるのか考えました。

まず、作業前に作業服自体を水で濡らすこと。
これだけで、体温がかなり下がります。

次に、水分とミネラルを、余分と思えるほどに補給すること。

Tシャツが乾いていた原因は、僕の水分補給が足りなかったことも原因です。

そして、ミネラルウォーターだけ補給しても、体内のナトリウム薄められ、水中毒となり余計に体調を崩します。

ですので、必ずミネラルも同時に補給しなくてはなりません。(今回はポカリスエットに頼りました。)

水分の取り方も工夫をして、5分タイマーを行いました。
下方の作業補助員の方に、5分ごとに声を掛けて頂き、5分ごとに水分を補給することにしました。

飲む量も、一口ではなく、できるだけ多く飲むように心がけました。

そのように工夫をした結果、今まで現場で丸1日働いていても、トイレに行くことが、ほとんどない私でしたが、今回は大量の汗をかいているにもかかわらず、午前と午後に1回ずつトイレに行くことができるようになりました。

そして、作業服も常に汗で濡れている状態となり、体温の上昇を抑えることができ、無事に全ての作業を終わらせることができました。

元々、僕ら空調屋は真夏の折板屋根の屋根裏(気温60℃以上)で、作業を行ってきましたので、暑さには強いはずだったのですが。。。

今回のことは、これからロープ工事を行っていく上で、とても貴重な経験となりました。

更に、トラバース先で事故をおこした際の救助方法も真剣に考えましたし、セルフレスキューの必要性も再認識しました。

最近、様々な熱中症対策製品が販売されていますが、くれぐれもご自分の体質に合ったものを選ぶようにして下さい。

それでは本日はこの辺で。
皆様、ご安全に!!

追伸です。

  写真は、ベンチシートのり付けに、ペツル社のオムにを使っている様子です!

セルフレスキューの必要性

セルフレスキューの必要性(たった3分…)

小倉です。

今回は、セルフレスキューの必要性について書いてみたいと思います。

フルハーネスの危険性

私たちは、基本的にフルハーネスを着用しています。

フルハーネスを着用しONロープ状態で身体の力を抜くとどうなるか。

ロープ高所作業特別教育やNSC講習では、いつも受講生の皆様に試して頂いておりますが、大体の方は、頭がお腹よりも下がり、頭に血が上り呼吸が苦しくなってきます。

更に続けると、手足がしびれてきて。。。と、さすがにそこまでやったことはありません。

下手すると本当に死んでしまいますので。。。

一般的に、ロープ高所作業(ロープアクセス)中に意識を失えば、人は3分から15分で死亡すると言われています。

そして、たとえ意識を失わなくとも、ONロープ状態が続けば、人は15分から30分で死亡するとも言われています。

そのように短時間で死亡する原因は、フルハーネスを着用していることによる四肢の圧迫です。

2つの症候

圧迫による症状により、2つの症候に分けられます。(以下、お医者さんや消防士さんの受け売りです。)

1. エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)

  ONロープの状態で意識を失い身体の動きが止まれば、フルハーネスのレッグループで締め付けられている足の血液の循環が悪くなります。

そうすると、血液は濃くなって固まりやすくなり、この状態が続くと、脚(主にふくらはぎ)の静脈内に血の塊(血栓)ができます。

これを、深部静脈血栓症と呼び、静脈内にできた血栓はしだいに大きくなり静脈から剥がれ、血流にのり肺動脈や肺に流れます。

この血栓が肺動脈をふさぐことを塞栓(そくせん)といい、この状態を急性肺血栓塞栓症と呼びます。

小さな血栓が肺動脈につまった場合は、肺へ流れる血流が低下し、肺でのガス交換が不十分となるため、息切れ、胸や背中の痛みが生じます。

しかし、大きな血栓がつまった場合には、肺へ流れる血液が著しく低下し、肺でのガス交換ができなくなるだけでなく、血圧が低下し死亡すると言われています。

2. クラッシュ症候群(挫滅症候群)

ONロープの状態で意識を失い身体の動きが止まれば、フルハーネスにより四肢の筋肉が圧迫されます。

そして、筋肉が圧迫されると、筋肉細胞が障害・壊死を起こし、それに伴いミオグロビン(たん白質)やカリウムといった物質が血中に混じり毒性の高い物質が四肢に蓄積されます。

その後、救助などで圧迫されていた四肢が解放されると、血流を通じて毒素が急激に全身へ広がり、心臓や腎臓の機能を悪化させて死亡すると言われています。

更に怖いのは、例えその場で一命をとりとめたとしても、腎臓にもダメージを受け、その後に腎不全で死亡する可能性があるそうです。

もし、クラッシュ症候群が疑われる場合は、ドクターヘリを読んで、その場で輸液を行ってもらって下さい。

心停止

事故や病気による心停止に関して。

僕が聞いているのは、心臓が心室細動の時は、まだ心臓内の筋肉に酸素が残っている状態である。その心臓内に残った酸素は約3分で無くり、その後、酸素が送られなければ、もう二度と心臓は動き出さない。と。。。

たった3分です!!

AEDを使えるのは心室細動の時だけです。止まった心臓に対しては、AEDは働きません。

仲間(要救助者)が事故を起こしたばかりなら、とにかく上げるか下ろすかして、心臓マッサージと人工呼吸を行うことが重要です。

現場にAEDがあれば言うことはありません。

セルフレスキュー

何はともあれ、事故(病気も含む)があれば、まず119(消防)へ連絡をします。

できれば、救助者とは別の人間が119(消防)へ連絡することが望ましいです。

救助者は、事故を起こした仲間(要救助者)を迅速に上げるか下げるかしなくてはなりません。

(フルハーネスに長時間ぶら下がっていた場合は、上げた場合はONロープ状態を維持する、下げた場合は下げきらないことも重要になります。)

ただ、場所にもよりますが、実際に300mの高所で作業を行っていて、どのくらいの時間で下ろすことが可能でしょうか。

最初からレスキューシステムが組んであれば、下ろすだけなら3分(約、秒速1.6mちょい)で下ろせるかもしれません。

ただ、上げるとなると人力では不可能です。

弊社の場合は、現場に必ずNSCパワーアッセンダーがありますので、分速15mとして約20分で上げられます。

(分速15mは、充電ドライバーが2000回転としてです。充電ドライバーが4000回転なら分速30mで上げられます。)

が、3分には間に合いそうにありません。齊藤君、ごめん。。。

 

あ、齊藤君はまだ生きてました!!

事故時はもちろん、ただの熱中症でも上記のような症候群が考えられるため、できるだけ迅速に消防が来られる場所まで仲間(要救助者)を移動させることが重要です。

その仲間(要救助者)を移動させる技術をセルフレスキューと呼びます。

フルハーネスを着用している以上、救助に掛けられる時間は限られています。

ロープ高所作業(ロープアクセス)を行う以上、自分達の命は自分達で守ると言うことを肝に銘じ、必ずセルフレスキューを学んで下さい。

セルフレスキュー後

消防士さん達に仲間(要救助者)を引き渡すのはもちろんですが、そこまでの経緯を細かく伝えて下さい。

特に、事故後のフルハーネスでぶら下がっていた時間をできるだけ正確に伝えて下さい。

 

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

NSC Novice 講習(3日間)

小倉です。  

先日、NSC Novice 講習を行いました。

今回の受講生は、ケンテックのお客様で、協会のロープ高所作業特別教育を受講された方です。

NSC講習は、受講生2名に対し、私とアシスタントに齊藤が付き、マンツーマンで講習を行います。

弊会の講習は、基本的に職人に対して行いますので、とても厳しく講習の途中で脱落する方もいらっしゃいます。

初日(8時から18時まで。)

まず教室で、ロープ高所作業特別教育のおさらい、ノット15種類、NSCの説明、ロープアクセス技術の説明、フォールアレスト6kNとシステム15kNの説明など。

そして最も大切なアンカーの説明と構築方法を伝えます。

(毎度のことですが、アンカーは自分で決めるしかなく、アンカーを決めるためには、アンカーを知らなければなりません。

アンカーを知るためには、自分が使うであろうアンカーの勉強をすること、そして実際に経験する事が大切です。)

午後からは、屋上の鉄骨を利用して水平にロープを張り、登下降の組み替えを100回、身体で覚えるまで繰り返してもらいます。

(初心者が垂直ロープで登下降の練習を100回行うと、それだけで身体が壊れますので、まずは水平に張られたロープを使用します。)

そして、頭で考えずに組み替えができるようになってから、やっと垂直ロープに触れます。

垂直ロープでも、また同じように組み替えの練習です。(組み替えはチェック、チェックです。)

初日の最後は、登高器での下降、下降器での登高、ロープから別のロープへの移動、ロープの途中にノットを結びそれをクリアしながらの登下降を練習して終了となります。

受講生の方は、ホテルへ帰ったあとも、ひたすらイメージトレーニングとノットの練習…のはずです。

 

 

 

 

 

 

二日目(8時から20時まで。)

午前中は初日のおさらいから始まり、ロープガードの通過、エッジを乗り越え登下降、リビレイ、ディビエーションの説明を行い、各自、できるまでひたすら練習します。

午後、15時の休憩後はNovice用セルフレスキューを教えます。

要救助者がONロープで熱中症になったと想定し、救助者が別のロープセットを使い要救助者を伴って下降する方法です。

そこで、NSCパワーアッセンダーの実演も行います。

既に、登高や人を引き上げる大変さを知って頂いているので、NSCパワーアッセンダーの能力にお二人とも納得!!

それが18時すぎまで、そこから20時までその場で懇親会です!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三日目(8時から17時まで。)

朝一でノット15種類のテストを行います。

できなければ先へは進めませんので、皆さんちゃんと覚えてきます。

(ノットに関しては、講習前にテストを行う15種類をメールで伝えていますので、お二人とも完璧です!!)

そして、ロープアクセス技術のテストです。

(当たり前ですが、これに合格しないと、ビルの外壁へは出られません。)

1点だけマイナスがありましたが、お二人とも難なくテストに合格!

ここから、アンカーの構築に入ります。

弊会では、アンカーに巻き付けるスリングは建築用のスリングベルトを使用します。

建築用スリングベルトの破断荷重は100kN近いですし、幅が広いため建物を痛めず養生も少なくてすみます。

降下面とアンカーラインの角度、アンカーポイントの設定、水平面でのディビエーションやYビレイの方法などを伝え、自分達でアンカーを構築してもらいます。

それができれば、実際のビル外壁での登下降です。

まず、斜壁。これが怖い。

ここで登下降ができれば、30mくらいの壁は怖くなくなります。

 

 

 

 

 

 

 

あとは、自分達で降りたい壁を選んで頂き、ひたすらアンカーを構築しビルの外壁を登下降してもらいます。

17時、片付けを行い全ての講習が修了となります。

純ちゃん、松っちゃん、3日間お疲れ様でした。

次回、NSC Rescue講習に来て頂けるのを楽しみに待ってます!!

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

ロープカット レスキュー訓練(20名参加)

小倉です。

先日、協力業者の職人さん達20人に集まって頂き、ロープカットレスキュー訓練を行いました。

切ったロープの合計は100m、全てゴミとなりました…

今回行ったレスキュー方法は三つ。

一つは、要救助者を自分のシステムに移し、要救助者のロープをカットする方法。

この方法では、要救助者と救助者が一緒に下降します。

二つ目は、要救助者のメインロープに別に組んだシステムのロープを接続し、要救助者のロープをカットする方法。

この方法は、要救助者のみを下降させます。

三つ目は、人力で要救助車を引き上げる方法。

この方法は、救助者の自重を利用して要救助者を引き上げます。(カウンター)

それと、大切なのは、必ず仕事で使うナイフとは別の、ロープをカットするためだけのナイフを携行することです。

 

一つ目の方法は写真のように要救助者のメインロープをカットします。

要救助者まで下りたら、状態を確認しカラビナチェーンを使って2点確保、この時、ディッセンダーのカラビナの向きが重要です。

真剣にやっているつもりですが、皆さん楽しいらしく顔が緩んでいます。

 

カット後は、自分のディッセンダーをコントロールして安全な作業床若しくはGLまで下ろします。

が、下ろしきってはいけません。

要救助者のお尻の下に20cmの空間を設けます。

それにより、要救助者を動かすこともストレッチャーを入れる事も出来ます。

更に、血栓や挫滅症候群の危険が疑われる場合にも有効です。

この、隙間を空けるという方法は、IRATAの藤原先生から教わりました。

あとは、要救助者の状態を見ながら消防の方に引き渡します。

これは消防士さんに教わったのですが、挫滅症候群が疑われる場合、ドクターヘリを呼びドクターに輸液を投与して頂くしか助ける方法はないそうです。

電話も通じない、ドクターヘリも来られない場所だったら…その部分を失うつもりで縛る。

万が一の時はやるしかないんでしょうね。

二つ目の方法は写真のように要救助者のメインロープをカットします。

ONロープではAEDも使えませんので、できる限り早く下ろさなくてはなりません。

緊急時に要救助者を下ろす最も早い方法です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後は、エッジ際にあるディッセンダーをコントロールして、安全な作業床若しくはGLまで要救助者を下ろします。

三つ目の方法はカウンターといい、要救助者の張られたメインロープに弛みを付け、そこに自重を乗せていき要救助者を引きあげます。

皆さん、とても頑張って自分より体重のある要救助者を引き上げていました。

一日、お疲れ様でした。

最後に、NSCパワーアッセンダーがあれば、どんなところでも簡単に高速で要救助者を引き上げる事ができます。

それが、NETIS登録ノン・スキャフォールディング工法の安全性であり信頼性でもあります。

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

NSC Advanced講習(NSCパワーアッセンダー)

小倉です。

先日、山中で行ったNSC Advanced Rescue講習の動画ができましたのでアップします!!

NSCパワーアッセンダーで、合計85kgのストレッチャーと人形を120m引き上げました。

ルートには、樹木間が50cmの場所や倒木が重なっている場所があり、なかなか大変でした。

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

 

 

安全で便利なロープ高所作業用品の紹介です!(ランヤード)

小倉です。

今日は安全で便利な機材の紹介をしたいと思います。

機材の名前は、ペツル社の「プログレスアジャスト」です。

この機材を一言で説明すると、長さの調整ができるランヤードです。

これが発売される前は、ダイナミックロープとスペルジカ(ペツル社製)で確保をしていましたが、プログレスアジャストができたことで、高所作業が安全で楽になりました。

例をあげると、プログレスアジャストは長さが調整できるので、ビレイ時の落下係数を抑えることができます。

そして、平面でストレッチャーを運ぶ場合や、セルフレスキュー時のカウンターを当てる際も、自分の体にランヤードの長さを合わせることができるので楽になりました。

更に、アンカーを壁面に打ち込みながらトラバースを行って行く際も、プログレスアジャストの末端を引けば引いた方に寄っていくのでトラバースが簡単になり、プログレスアジャスト4本をストレッチャーに取り付ければ、ストレッチャーの角度調整が容易にできるようになりました。

特に、ONロープ状態の要救助者の荷重を抜きたい場合、自分の体重を使いカウンターを掛けるのですが、昔はスペルジカとカラビナでカウンターを掛けていたので、要救助者が自分より重いととてつもなく大変でした。

でも、プログレスアジャストの登場で、簡単にカウンターが掛けられるようになりました。

 

基本的なことですが、2点確保を行うために、最低3本のランヤードが必要です。

弊会では、プログレスアジャスト2セット(ランヤード4本)をメインアタッチメントに取り付け、そのうちの長さの調整ができない1本を「直」にハンドル付きアッセンダーに取り付けることを推奨しています。

最後に、ランヤードのカラビナには必ずキャプティブを取り付けること、そのカラビナはサイドのアタッチメントではなく、必ずギアループに掛けること、以上2点は業界のルールですので必ず守ってください。

写真には、ジャグとジャグトラクション(4:1 のメカニカルアドバンテージシステムを構成するためのダブルプーリー)が写っていますが、この便利な機材に関してはまた後日!!

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!