小倉です。
今日は、ロープ高所作業(ロープアクセス)について詳しく書いてみます。
「ロープ高所作業って何?」と疑問をお持ちの方はぜひご覧下さい。
ロープ高所作業(ロープアクセス)
ロープ高所作業(ロープアクセス)とは、文字通り、足場や高所作業車の代わりにロープを用いる方法のことです。ただし、ロープ高所作業(ロープアクセス)はあくまでも仮設の1つに過ぎず、ロープ高所作業(ロープアクセス)ができるからといって工事ができるわけではありません。
例えば、工事対象の一つである体育館でロープを使用する場合、上部に組まれている鉄骨の梁にワイヤー入りのスリングを巻き、カラビナを介してロープを接続します。そして、ロープを使う作業員は、フルハーネスを着用し登高器や下降器を使ってロープを昇降し工事を行います。
弊社では、国土交通省NETISにノン・スキャフォールディング工法という呼び名でロープによる工事を登録し、全ての建築工事に対してロープ高所作業(ロープアクセス)を取り入れています。
ロープ高所作業(ロープアクセス)自体の問題点
平成28年1月1日の法改正のあと、たった学科4時間、実技3時間のロープ高所作業特別教育を受けただけで安易にロープ高所作業を行う方が増えたため、墜落し死亡する方が増加しています。(東京労働局からロープ高所作業を行う事業者へ協力依頼がでています。)
実際に、たった7時間の教育を受けただけでロープ高所作業を行って良いわけですから、落ちるのは当たり前です。本来であれば、学科だけでも2日間、実技には5日間が必要です。とても一日の講習で全てを伝えられるわけがありません。
弊社では、特許取得済みの「NSCバケットシステム」に代表される、養生システムを自社開発しています。それにより、より安全で確実な工事を行っています。
ロープ高所作業(ロープアクセス)の資格
ロープ高所作業(ロープアクセス)を行う場合、最低でもロープ高所作業特別教育が必要です。
(一社)ロープ高所作業協会でもロープ高所作業特別を行っています。(2024年現在は行っておりません。)
特に、弊会のロープ高所作業特別教育では、ロープ高所作業の危険性やセルフレスキューの重要性を重点的に受講者に伝えています。
例として、アンカーを構築するためにアンカーの勉強が不可欠なこと、高さ=エネルギーであること、人体に掛かる最大許容荷重6kNとシステムの最低破断荷重15kNを守ること、ロープ高所作業の専門的な講習を絶対に受けること、そしてセルフレスキューが必要なことなどです。
その他、弊社では、国土交通省NETIS登録、ノン・スキャフォールディング工法を元にしたNSC講習を行っています。
NSC講習は、世界でも類をみない実在するビルの外壁を使用して講習を行うロープ高所作業(ロープアクセス)の民間資格です。(ロープ高所作業(ロープアクセス)の公的な資格は世界的にみても存在しません。)
NSC講習の内容は厳しく講習費用も高額ですが、必ず合格するとは限りません。資格は、Novice、Rescue、Advanced、Advanced Rescue、Instructorの5つに分類され、それぞれ厳しいテストがあります。
例としてNSC Rescue講習では、学科でアンカーの構造計算を学びます。あと施工アンカーのコーン状破壊、ボルトや鉄骨の許容応力度や引張及び剪断荷重など。実技では実際にいくつかのアンカーを構築後に破壊し、受講者にアンカーの破壊を体験してもらいます。
セルフレスキュー
ロープ高所作業(ロープアクセス)は、2m以上の高所でロープを用いて作業を行っていますので、作業員が着用しているものはフルハーネスです。
例えば、300mの高所で作業を行っているとします。その高さで事故があれば、一部の消防隊員を除いて誰も助けに来られません。最低でも近くにいる仲間の作業員達だけで事故をおこした作業員を上げるか下ろすかして、消防隊員が来られる安全な場所まで移動させる必要があります。
更に、フルハーネス着用時に熱中症で意識を失えば、最短で3分、最大で30分で死亡すると言われています。死亡する原因は、四肢が締め付けられることによる血管内の血栓の発生による肺血栓塞栓症や、筋肉組織が破壊され毒素が全身へ広がり、心臓や腎臓の機能を悪化させる挫滅症候群によってです。
上記より、ロープ高所作業(ロープアクセス)を行うなら、最低限、自分や仲間の身を守るセルフレスキューを学び、自分達の命は自分達で守る気概と技術が必要です。
弊社では、今まで15年以上ロープ高所作業(ロープアクセス)を行ってきましたが、事故を起こしたことは一度もありません。現場には、NSC Rescue資格と上級救命講習を受講した作業員が最低2名は存在し、AEDも常備しています。
そして、自社開発の国内特許は元より国際特許も取得した「NSCパワーアッセンダー」を現場に常備することで、世界で最も安全で迅速なセルフレスキュー体制を構築しています。