人生を変えた、ロープとの出合い(前編)

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人生を変えた、ロープとの出合い

はじめまして。ロープのケンさんこと小倉健二です。

僕は、ロープが大好きです。
そして、ロープで人生が変わりました。

2003年からロープ高所作業を始めて14年。
初めてロープを経験した日から、ロープが大好きで、ロープのことを考えて、創意工夫を重ねていくうち、仲間から「ロープのケンさん」と呼ばれるようになったりして。

正直、少し照れくさい。
僕なんてまだまだ修行中の身ですので。

今日は僕がロープと出会った最初の出来事を紹介します

この記事で、一人でも多くの人にロープ高所作業のすばらしさに気づいて欲しい。
そして、一緒にロープ高所作業を盛り上げていきたい。

そんな想いでお伝えします。

2003年、休暇で訪れたオーストラリアでのこと

僕は10代から設備工事の世界に入り、22歳で独立してからは休みもなく働き続けてきました。
そんな自分へのご褒美に休暇を、と選んだのが、オーストラリア旅行。

でも今思えば、休暇そのものより、“ロープとの出合い”が真のご褒美だったのかもしれません。

アブセーリング体験

もともと自然が大好き、アウトドアが大好き、加えて、高いところも大大大好きな僕(笑)

洞窟や崖などをロープで懸垂下降するアドベンチャー・ アクティビティ「アブセーリング」というものがあるのを知り、これは面白そうだ!と迷わずチャレンジしたのです。

アブセーリング

まず初めに簡単なレクチャーを受け、3m位の岩とエイト環を使って、懸垂下降の練習を30分ほど行いました。

そこからいきなり、落差300mくらいの垂直な崖へと連れて行かれました!
崖の中間にある踊り場まで、懸垂下降を2回ほど体験したのです。

登りは山道を自分の足で歩くわけですから、これが意外と大変でしたが、高所からロープで懸垂下降する、この浮遊感がなんとも爽快でした。

午後からは、川へ向かい、水中生物や植物の説明を聞きながら、途中にあった小さな滝に飛び込んだり、滑り降りたり。

そして最後は、落差30mの滝です! 
ロープを使って、滝の中へと降りるのですが、自然の滝ですから、崖とは違って、水がすごい勢いでどうどうと流れているわけです。

その中を降りるとなると、水の勢いも水量もすごくて、自分の周りも水で見えません。
ほとんど滝の音しか聞こえない状態の中で、滝を降りていって。

そして、滝壺から5〜6m近くまできたあたりで、「ビックジャンプ!」とかけ声を掛け、自分でタイミングを計り、ロープを手離して、滝壺へダイブするんです。

ビッグジャンプ

まさに、自分の体を使ってダイナミックに遊ぶ、アドベンチャー・ アクティビティそのものでした!

そうだ!ロープで仕事しよう!

でも僕が、何より楽しい!と感じたのは、滝壺へダイブするわくわくドキドキよりも、高所での自由自在なロープワークと、その浮遊感でした。

思いのままに昇降できる! この気持ち良さは格別だと思ったのです。

僕が作業する現場のほとんどは高いビルや建物ですから、もちろん高所には慣れています。

仕事とはいえ現場でも、見晴らしの良さ、風や陽の光、四季の移り変わりを感じて、気持ち良いと思うことはしばしばありました。

でも実際は、養生シートに覆われた足場の中での準備・作業ですよね。
それに本業の作業現場まで、幅も狭く高さも充分ではない足場内の通路を重い機材を持って行ったり来たり。
身をかがめて登り降りするのは大変。

「同じ高所でも、ロープだとこんなにも気持ち良いのかぁ。
 仕事で使えないかなぁ、使いたいなぁ、楽しいだろうなぁ……」

そう思った瞬間、これまでのいろいろな“わけあり現場”が浮かんだのです。

足場が組めなかったあの現場も、ロープを使えば。
高所作業車が進入できなかったあの現場も、ロープを使えば。
工期短縮を強要されたあの時も、ロープを使えば。
全面足場が必要なかったあの仕事も、ロープを使えば。

!!!

発注先も、元請けも、協力会社も、実作業する自分ももちろん、いいこと尽くしではないのか?! 

帰国後、それを裏付ける出来事がさっそくありました

数十階建ての商用ビルで、作業用の足場を組ませて頂けない高所での工事でした。
依頼主は「各階のベランダから身を乗り出してやってほしい」と。

いや、危ないでしょ(苦笑)。

この時に、アブセーリングで習得したロープアクセス技術を試してみたのです!

ロープと機材を使って屋上から降下し、スムーズに作業することができました。

ノン・スキャフォールディング工法®を開発する

「これは使える!」と、本格的に仕事にロープを活かそうと決意し、ロープのコトを本格的に学び始めました。
ですが、ロープの主流は、ダムや橋、ビル外壁などの点検調査で活用されている技術。
垂直あるいは急傾斜の場所を1本のロープで登下降する技術でした。

でも僕らの目的は、登下降ではなく、そこで安全に実作業することです。
作業には溶接器も刃物のついた電動工具も使用しますから、万が一、炎がロープに触れロープが切断される危険も考えないといけません。

何かいい方法はないか……。

様々なロープアクセス技術講習も調べましたが、なかなか見つけられません。

「ないなら自分で!」と防炎シートとアルミド繊維を組み合わせた最強のロープガードの作成や、ワイヤーの使用方法、鉄骨材を加工して支点を作成する方法など創意工夫して、図面を書いては知り合いの架台業者さんに試作を頼んだり、縫製業者さんに相談したり、部品を買ってきては自分で組み立ててみたり。

ライフライン(セカンドロープ)、ロープガード、鉄骨製支点、落下防止カバー・ワイヤーガードも独自に開発。

「普通そこまでやるか?器具まで開発?」と、知人から驚かれました(笑)。

さらに5年ほど、テストと現場実践とを重ねて、2009年に、足場を使わずに高所作業をする、
無足場工法「ノン・スキャフォールディング工法®」(NSC工法)
(ノン=無 スキャフォールディング=足場)を確立させたのです。

長くなりましたので、この続きは、後編へ。

ロープのことになると、ついつい熱く語ってしまいます。

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