墜落防止用の個人用保護具に関する規制のあり方に関する検討会①

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墜落防止用の個人用保護具に関する規制のあり方に関する検討会①

山﨑です。

ロープ高所作業特別教育講習会を28回(2017年5月現在)聞いている素人です。
講習会を聞いていて気になったこと、気づいたこと、書きます。

フルハーネス型安全帯の着用原則化の動き

フルハーネス、使っていますか?

建設業の災害で最も多いのが、墜落・転落です(平成28年度、災害種類別で48%)

フルハーネス型安全帯は、従来の胴ベルト型と比較すると身体にかかる衝撃を分散・軽減できるため、万が一落下した場合、内臓の損傷、救出されるまでの宙吊り状態下での胸部等を圧迫するといった危険を低減させる事ができます。
実際、胴ベルト型安全帯の使用に関わる災害も確認されています。

墜落防止用の個人用保護具に関する規制のあり方に関する検討会

現在、厚生労働省ではフルハーネス型安全帯の普及のため、着用を原則化するという動きがある事はご存知でしょうか?

それが「墜落防止用の個人用保護具に関する規制のあり方に関する検討会」です。

つい先日、検討結果内容を取りまとめた報告書が公表されました。

以下、厚生労働省ホームページにて公表された元ネタです。
「墜落防止用の保護具に関する規制のあり方に関する検討会」の報告書を公表します

報告書が公表された事については協会のホームページでもお知らせしたのですが、もう少し踏み込んだ内容をお話しできたらと思い記事に取り上げさせてもらいました。

※ 本文は、報告書及び議事録が公表された平成29年6月16日現在での決定事項・方向性など取りまとめた事項からまとめたものです。
今後内容・スケジュール等が変更される可能性があります事をご了承下さい。

その1.現行使用されている様々な安全帯について、用途が分類され、使用が規制されます

平成30年度を目処に、フルハーネス、ランヤード及びショックアブソーバーに関するJIS作成及び構造規格が改正されます。

先に述べた通り、胴ベルト型安全帯には使用には落下時に内臓損傷や胸部等の圧迫リスクがあることから、ISOやEN規格などの国際規格に胴ベルト型は規定されていません。

今回の改正では、現在いわゆる「安全帯」としてひとくくりにされている墜落防止用の保護具を3つの分類(フォールアレスト用保護具、ワークポジショニング用器具、レストレイント用保護具)に分け、新たに規制を設ける事が取りまとめられました。

それぞれの用途・性能は以下の通りです。

フォールアレスト用保護具

墜落時に労働者を地面に衝突させることなく制止・保持することができる性能を有する保護具

ワークポジショニング用器具

ロープ等の張力により労働者の身体を作業箇所に保持するための器具

レストレイント用保護具

労働者が墜落する危険のある箇所に到達することを制止するための保護具

その2.フルハーネス型以外の安全帯は条件付きでのみ使用可能となる

そして今まで国内ではひとくくりにされてきた「安全帯」ですが、改正後は原則フルハーネス型を使用することが定められ、ほかの安全帯は以下のような条件付でのみ使用可能となります

胴ベルト型

胴ベル型と比べ一定程度、落下距離の長いフルハーネス型を使用すると、墜落時に地面に到達する恐れのある距離(おおよそ5メートルより低い位置)では胴ベルト型安全帯の使用は有効であり認めるべきである。

U字つり用胴ベルト

U字つり用胴ベルトは今後ワークポジショニング用器具として位置づけ、使用時にはバックアップとしてフォールアレスト用保護具を併用する。

その他の命綱

現行規定されているその他の命綱はレストレイント用保護具として位置づけられ、単体の使用は不可となる可能性があるようです。

皆様も、今後の状況を注視してください。

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