フルハーネス

セルフレスキューの必要性

セルフレスキューの必要性(たった3分…)

小倉です。

今回は、セルフレスキューの必要性について書いてみたいと思います。

フルハーネスの危険性

私たちは、基本的にフルハーネスを着用しています。

フルハーネスを着用しONロープ状態で身体の力を抜くとどうなるか。

ロープ高所作業特別教育やNSC講習では、いつも受講生の皆様に試して頂いておりますが、大体の方は、頭がお腹よりも下がり、頭に血が上り呼吸が苦しくなってきます。

更に続けると、手足がしびれてきて。。。と、さすがにそこまでやったことはありません。

下手すると本当に死んでしまいますので。。。

一般的に、ロープ高所作業(ロープアクセス)中に意識を失えば、人は3分から15分で死亡すると言われています。

そして、たとえ意識を失わなくとも、ONロープ状態が続けば、人は15分から30分で死亡するとも言われています。

そのように短時間で死亡する原因は、フルハーネスを着用していることによる四肢の圧迫です。

2つの症候

圧迫による症状により、2つの症候に分けられます。(以下、お医者さんや消防士さんの受け売りです。)

1. エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)

  ONロープの状態で意識を失い身体の動きが止まれば、フルハーネスのレッグループで締め付けられている足の血液の循環が悪くなります。

そうすると、血液は濃くなって固まりやすくなり、この状態が続くと、脚(主にふくらはぎ)の静脈内に血の塊(血栓)ができます。

これを、深部静脈血栓症と呼び、静脈内にできた血栓はしだいに大きくなり静脈から剥がれ、血流にのり肺動脈や肺に流れます。

この血栓が肺動脈をふさぐことを塞栓(そくせん)といい、この状態を急性肺血栓塞栓症と呼びます。

小さな血栓が肺動脈につまった場合は、肺へ流れる血流が低下し、肺でのガス交換が不十分となるため、息切れ、胸や背中の痛みが生じます。

しかし、大きな血栓がつまった場合には、肺へ流れる血液が著しく低下し、肺でのガス交換ができなくなるだけでなく、血圧が低下し死亡すると言われています。

2. クラッシュ症候群(挫滅症候群)

ONロープの状態で意識を失い身体の動きが止まれば、フルハーネスにより四肢の筋肉が圧迫されます。

そして、筋肉が圧迫されると、筋肉細胞が障害・壊死を起こし、それに伴いミオグロビン(たん白質)やカリウムといった物質が血中に混じり毒性の高い物質が四肢に蓄積されます。

その後、救助などで圧迫されていた四肢が解放されると、血流を通じて毒素が急激に全身へ広がり、心臓や腎臓の機能を悪化させて死亡すると言われています。

更に怖いのは、例えその場で一命をとりとめたとしても、腎臓にもダメージを受け、その後に腎不全で死亡する可能性があるそうです。

もし、クラッシュ症候群が疑われる場合は、ドクターヘリを読んで、その場で輸液を行ってもらって下さい。

心停止

事故や病気による心停止に関して。

僕が聞いているのは、心臓が心室細動の時は、まだ心臓内の筋肉に酸素が残っている状態である。その心臓内に残った酸素は約3分で無くり、その後、酸素が送られなければ、もう二度と心臓は動き出さない。と。。。

たった3分です!!

AEDを使えるのは心室細動の時だけです。止まった心臓に対しては、AEDは働きません。

仲間(要救助者)が事故を起こしたばかりなら、とにかく上げるか下ろすかして、心臓マッサージと人工呼吸を行うことが重要です。

現場にAEDがあれば言うことはありません。

セルフレスキュー

何はともあれ、事故(病気も含む)があれば、まず119(消防)へ連絡をします。

できれば、救助者とは別の人間が119(消防)へ連絡することが望ましいです。

救助者は、事故を起こした仲間(要救助者)を迅速に上げるか下げるかしなくてはなりません。

(フルハーネスに長時間ぶら下がっていた場合は、上げた場合はONロープ状態を維持する、下げた場合は下げきらないことも重要になります。)

ただ、場所にもよりますが、実際に300mの高所で作業を行っていて、どのくらいの時間で下ろすことが可能でしょうか。

最初からレスキューシステムが組んであれば、下ろすだけなら3分(約、秒速1.6mちょい)で下ろせるかもしれません。

ただ、上げるとなると人力では不可能です。

弊社の場合は、現場に必ずNSCパワーアッセンダーがありますので、分速15mとして約20分で上げられます。

(分速15mは、充電ドライバーが2000回転としてです。充電ドライバーが4000回転なら分速30mで上げられます。)

が、3分には間に合いそうにありません。齊藤君、ごめん。。。

 

あ、齊藤君はまだ生きてました!!

事故時はもちろん、ただの熱中症でも上記のような症候群が考えられるため、できるだけ迅速に消防が来られる場所まで仲間(要救助者)を移動させることが重要です。

その仲間(要救助者)を移動させる技術をセルフレスキューと呼びます。

フルハーネスを着用している以上、救助に掛けられる時間は限られています。

ロープ高所作業(ロープアクセス)を行う以上、自分達の命は自分達で守ると言うことを肝に銘じ、必ずセルフレスキューを学んで下さい。

セルフレスキュー後

消防士さん達に仲間(要救助者)を引き渡すのはもちろんですが、そこまでの経緯を細かく伝えて下さい。

特に、事故後のフルハーネスでぶら下がっていた時間をできるだけ正確に伝えて下さい。

 

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

胴ベルト型安全帯の使用期限に関して(一本吊り)追記

小倉です。

前回、墜落制止用器具に関して、旧規格の一本吊り胴ベルト型(経過措置により墜落制止用器具と見なされる)は、規格も高さ制限も関係なく使用できると記載しましたが、いつまで使用できるのか期日を記載していませんでしたので追記します。

2022年1月1日までは、旧規格の一本吊り胴ベルト型であれば6.75mを超えての使用も可能です。

2022年1月2日以降は、全ての旧規格の墜落制止用器具は、一本吊り胴ベルト型もフルハーネス型(ランヤード含む)も使用できなくなります。

ちなみに、新規格の墜落制止用器具は2019年2月1日から高さ制限が適用されていますので、一本吊り胴ベルト型は6.75mを超えて使用できません。

旧規格の一本吊り胴ベルト型は2022年1月1日まで、6.75mを超えて使用できるが、新規格の一本吊り胴ベルト型は、2019年2月1日より6.75mを超えて使用できないということです。

新規格のフルハーネス型であればどこでも使用できますので、上記のような問題を気にする必要はありません。

ただ、フルハーネスを着用したからと言って安全ではありません。

何でもそうですが、使い方を誤れば重大事故や死亡事故につながります。

着用方法やセルフレスキューの方法を学んで、安全にお使い下さい。

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!

胴ベルト型安全帯の使用期限に関して(一本吊り)

小倉です。

表は、協会がフルハーネス特別教育の際に使用しているもので、ヨーロッパと日本の考え方の違いについて書かれています。

 

協会宛てによくくる質問なんですが、「一本吊り胴ベルト型の安全帯(墜落制止用器具)は、2019年2月1日を超えてもロープ高所作業に使用して良いのか」と。

以下、「厚生労働省の墜落制止用器具に係る質疑応答集」です。

法的には、経過措置により2022年1月1日まで、旧型の墜落制止用器具(1本吊り胴ベルト型)は使用可能です。

更に、新規格であれば、2022年1月2日を超えて使用する事も可能です。

しかし、法律にも記載がありますように、高所作業時に身につけるものは「原則フルハーネス」です。

言い換えれば、本来はフルハーネスを着用すべきだが、フルハーネスを購入するお金のない方へ、今ある身体保持器具と一本吊り胴ベルト型を使用しても良いと言っています。

フルハーネスと胴ベルト型のどちらが安全か、言うまでもありません。

フルハーネスを使用していない従業員の方へ「あなたの命の値段はフルハーネス1着分より安いのですか」

フルハーネスを使用させていない経営者の方へ「あなたの会社を支えてくれている従業員の命の値段は、フルハーネス1着分より安いのですか」と問いたいです。

 

僕が従業員なら、会社にフルハーネスの購入をせまり、レスキュー講習を受けさせてもらいます。

僕が経営者なら、従業員にフルハーネスを与え若しくは購入する資金を援助し、レスキュー講習を行う若しくは受けさせます。

自分の命そして仲間の命を守れるのは自分と仲間達です。

人間は、心臓が止まれば(心室細動の状態)、3分以内に心臓へ酸素を送らなければ心臓は二度と動きだしません。

仮に心臓が動いていたとしても、フルハーネスに吊られた状態で意識を失えば、15分から30分で死亡します。

セルフレスキューの話しはまた今度にしますが、ロープ高所作業に限らず、全ての高所作業時にフルハーネスが着用され、ヨーロッパのようにセルフレスキュー講習が特別教育に組み込まれるように願ってやみません。

それでは本日はこの辺で。

皆様、ご安全に!!